第3回Asian Aging Core for Longevity/ 2010 Jeju Conference(長寿のためのアジア老化研究コア/2010年済州島会議)
2010年8月22日〜24日  韓国 済州島 ネイバーフッドホテル

かつて製薬企業が日本の研究者を中心に組織したVirtual Research Institite of Agingという,私も参加させて頂いていた組織が5年ほど前に解散しました。標記の会議は,これの発展形として立ち上がっている研究会が主催している,韓国の老化研究者とジョイントしたミーティングです。

 私は「Regulation of Autoimmunity by PIR-B」を発表しました。免疫の加齢変化は主に胸腺の萎縮から来るT細胞系の機能低下が主に起こりますが,自己抗体の血中レベルは加齢とともに上昇します。この自己抗体がどこでどのようにして作られるか,をB細胞制御レセプターであるPIR-Bを通して知ることが私たちの興味の中心です。今回は主に窪論文を中心にプレゼンしました。

 その他,一般にもよく知られるようになったカロリー制限の長寿効果のメカニズムやゲノム不安定性,アルツハイマーなどの脳加齢のメカニズムに関する新しい知見の発表,さらにはある二糖類が線虫の寿命を延ばす効果も発表されました。実に多くのDisciplineがエイジングを探索しており,たいへん学術的に愉しい研究会でした。

 済州島を巡りながら行うセッションでは,南西部の海に面してぽつんと小高くなっている松岳山でさえ,溶岩がむき出しの急峻あり火口跡があるなどさすがに韓国最高峰1950mのハルラサンを擁する火山島らしいところを知る事ができました。また第二次世界大戦の末期に旧日本軍が本土決戦に備えた特攻基地にするために,人間魚雷の格納庫として掘った海岸沿いの洞窟やアルトル飛行場跡*も見学しました。平和な済州島もまだ敗戦/解放から65年しか経っていません。

*写真:戦闘機格納庫跡が点在する畑地帯。左手前のものがよく分かるがざっと見回しただけでも9個ぐらい,コンクリート製の,カモフラージュしやすくしたと思われる格納庫が見える。一帯は平らで見晴らしがよく,海からの風の方向は一定している。