6.幼稚園 外国で生活するときに悩むのはやはり子供の教育だ。うちの2歳と4歳の子供たちが外国人とふつうに接することができたり,親のほうはさして上達しないまでも,子供たちは1年で英語がぺらぺらになって日本に帰れたらいいだろな,なんて甘いことを考えていた。 とんでもなかった。まず上の娘は言葉も髪や皮膚の色も違う,彼女のあたまには理解不能な子供たちの集団に入って行けず,現地の幼稚園に行きたがらなかった。最初のうちは女房が特別に付き添いでずっと居るようにしたが,それでも駄目で,青い目の先生たちにも懐かず,とてもいやがった。 下の息子は,お姉ちゃんがそういう状況だったため,子供心に気を遣ったのか,比較的,言うことを聞いてくれた。幼稚園やらで女房と娘が出かけているあいだ,ベビーシッターに預けるのだが,何度かおとなしく預けられた。しかしそれも何度目かで,「もう○○(ベビーシッター)のうちへは行かない!」と泣きながら拒否した。 そういうわけで娘を幼稚園に行かせることはあきらめ,女房も自分の英語の勉強のためにカレッジ通いをしたがっていたが,息子がベビーシッターに懐かないのであきらめた。このような状態では国際的視野が身に付くとか英語がぺらぺらになるどころではない…。 ちなみにこの経験がトラウマになったのか,帰国後も娘は幼稚園に行くのをいやがり,女房が幼稚園に付き添った。下の息子も幼稚園の年少保育から始めたが,朝,私がむりやり幼稚園に送って行って先生に預けて,サッと後ろも振り返らず逃げて帰ってきた。そのあと息子は預けられた担任の先生の手を片時も離さなかったそうである。当時,女房と私はこれから一生,登校拒否児を二人も抱えて生きていかなければならないのか,と本気で心配した。 娘は大学で国際比較文化論を専攻し,2009年から1年間フィリピンに留学した。彼女曰く,「外国で実際に生活して文化の違いを知りたい」。…あなたは昔,アメリカで生活してましたって! |
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