その5 ネイチャー編集部との直接交渉 | ||||
結構おもしろい論文が仕上がってくると,その当時はまずNatureを投稿先に考えた。そこで例のデスマッチを経た後,いよいよ論文原稿に著者たちの名前が入れられ,投稿近し,となったころ,3Fの教授室に関係者が集められ,小さな円卓を囲んで「いまからNatureのロンドンの編集長に国際電話をするから今回の論文のアピール点を挙げろ」との指示がある。ひととおり「○×を初めてクローニングしてその構造を明らかにし,かつ機能までも示した第一級のnoveltyがある論文だ」などと強調すべき点を整理したあと,いよいよ先生はNature編集部にダイヤルする。 編集部とのやりとりのあと,ある場合には「ぜひ送ってみてくれ」と言われて皆で喜んだこともあれば,「・・・がどうも新規性が足らないからArticle(フルの論文)の考慮対象にはならないがLetter(短報)なら考えてみる」であればそれもよし,「残念だが新規性が不足していそうだから他をあたってくれ」となればがっかりした。その場合,さすがに強気の先生も,編集部のひとに客観的な意見を言ってもらってその理由を納得できたからか,意外にすんなり受け入れていた。受け取ってもらえないとなると,急いで他のジャーナルの形式に論文を書き改める必要があるため,それはそれでそのあと結構大変な作業が入ることになるが,『どのジャーナルがええかな。FEBS Letterは出るのが速いですね。』などとひととおり皆の意見を聞いた後,書き直しにもう一度気合いを入れておられたようだ。 ハイレベルの論文を次々と投稿してもらったFEBS Letters編集長からはその後,先生に丁重な感謝状が届いた。「excellent paperをたくさん投稿して頂いてありがとう」と。 |
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