こぼれ話:行方不明のローター

 生化学の実験でよく使う,大量に試料を分離するときに使う遠心機にはひとりで抱えるのもやっとこさ、というような大きな重たいローター(高速回転するユニット)をセットする。医化学第I講座と第II講座が共同で使う1Fの遠心機の部屋にはそのような遠心機やら超高速の遠心機が何台もあったし,ローターもたくさんゴロゴロ(もちろん整理されて)していたが,使用頻度の高いローターはもし行方不明になるとすぐ分かる。

 あるとき1個の大きなローターが行方不明になった。が,あんな重たい大きいもの,なぜ無くなるのか不思議がられた。ほかに遠心機のある部屋はないのだから。

 ところで医化学教室の入り口のすぐ前には防火用水を貯めておく水深そこそこのコンクリート製の池があったが,水が循環しないためいつも水草が浮いてコケが生え,透明度はゼロ。毎年,防火用水池の大掃除がある。ある年の大掃除で池をさらえると,そのデカいローターが出て来た。

 試料の分離に失敗した実験の?叱られた?腹いせに誰かが投げ込んだのであろうか,理由は謎のままである。