2005年7月9日〜27日 夏の旅行記その1
・ゴードンカンファレンス「Bone and Teeth」at Biddeford, ME参加
・ニューヨークRockefeller大学Jeff Ravetch研究室訪問+セミナー
・かずさアカデミアパーク「免疫サマースクール」に講師で参加

 ゴードンカンファレンスでDAP12・FcRg欠損と破骨細胞の分化についてトークする機会を得た.7月9日,まだ梅雨明けやらぬ仙台を後にし,成田からワシントンまで飛んで,ローカル便でメーン州のポートランドへ.本来ならボストンからチャーターバスが会場のBiddefordまで出ているとのことだが,「ボストン」からとは案内に書いておらず,「Airport」からとあったのでてっきり最寄りのポートランド空港からだと勘違いしていて,結局会場までどうやって行っていいか現地に着いてから考えるはめになる.着いてみるとポートランド空港は仙台空港よりひとまわり小さな空港で,最寄りの駅まで出るバスなどなく,皆レンタカーや自分のクルマで移動するようす.仕方なくInfoと書いてある案内所まで行ってどうやってBiddefordまで行けばいいのか尋ねる.案内掛のひともレンタカーでの道路案内を想定しているもようで,親切に調べてくれたりしたが,アムトラックの駅までの公共交通はよく分からないらしい.結局タクシーが一番早いという結論になって「Ground Transportation Centerというガラス張りのビルディング(私にはそう聞こえた)」に行くように指示され,空港出口でしばらく大きなバスターミナルのようなところをイメージして探すが見つからない.よくよく見ると駐車場入り口の小さな監視員室のようなところにGround Transportation Centerと書いてある.ありゃま,ここだとようやく見つけ,タクシーに乗り込む.Biddefordまで45ドルで行くよとの事.高いけど仕方ない.
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 Biddefordは町はずれのSaco River沿いの大学(University of New Englnad)キャンパスのある土地(写真).やれやれ,ようやく着いてResidential Hallとやらにチェックイン.おや,これは学生の寄宿舎で,一部屋には4つの個室があって1キッチン,2バスルームのルームシェア.一部屋はシングルベッドだがシーツ2枚と毛布,枕,チェスト,机,スタンドが全調度品.ネット環境だけは完備してあるがケーブルを持ってこなかった私には無いも同じ.エアコンは効いているのでまだマシか.これから6日間もここに滞在するのか〜っ.
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 ゴードンカンファレンス自体は楽しい.アカデミックレベルの高さもさることながら皆フレンドリーで,朝食,昼食,夕食すべて同じ会場で摂ることになるのでいつの間にやら顔見知り.午後にはたっぷり自由時間があるので天気がいい日は私はジョギングで近くのハーバーまで往復(写真).日本からは何故か東北大学関係で3人もの人が来ていた.カンファレンスは出席者どうしの暗黙の了解があるらしく,どこかの雑誌に発表したデータはさることながら,最新の未発表の知見もトークに入れて行くことが要求されているとのこと.しかもその内容は他言できず,出席者どうしの守秘義務により守られている.1時間の持ち時間があれば多くの人は40分ほどで切り上げ,後の時間を質疑応答にあてる.もちろんぎりぎりまで話す人はいるが….質疑応答は極めて活発で,専門,専門外何でもアリ.このような歴史のある会合が続けられているポイントは,ある領域に興味のある連中が100人ほど一堂に会し,6日間のあいだにeverybody knows everybodyの状態になってざっくばらんに意見交換しあう雰囲気にある.なかなか日本でこのような学会をキープするのは国民性もあって困難かも知れないが,たいへんいいケースを見せてもらった.夜9:30ごろまでミーティングは続くが,その後は大学内のバーにぞろぞろ集まって12時近くまでビールやワインを飲んでいた.これが無いと寄宿舎生活はつらかったな….最終日の夕方はロブスターのディナー(写真),警察鑑識官の爆笑ゲストトークがあってからバーで飲んだり慣れないダンスをしたり…ようやく最終日だということで開放感もあって夜遅くまで楽しく過ごした.
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 さて,6日間が終わり,ポートランド経由でニューヨーク・ラガーディア空港まで行かねばならない.タクシーでふたたびポートランドまで,今度は50ドルとられたぞ.ポートランド空港では11:10発の飛行機がやや遅れ気味とのこと.待つこと20分,ようやく小さな機体に乗り込む.が,なかなか出発する雰囲気にならない.見ると操縦席でなにやらガタゴトやっている.何かいな?と思っていると,アナウンスで操縦席の窓が閉まらないので修理するとのこと.しばらく機内で1時間待つがラチが開かず,乗客は飛行機から下ろされ,ロビーで待機することに.乗り継ぎ便の確保が難しくなった客のために個別に地上係員が対応するが,長蛇の列,しかも皆グチを言うわけでもなく黙々と待っている.う〜ん辛抱強いな.ようやく修理できて再び乗り込んだのが2時ごろ.ラガーディアに行く次の便のフライト時間だが,次の便の乗客は11:10便がまだ飛んでいないと聞いて呆れるやら笑うやら.日本だと必ずこういうケースでは係員に詰め寄る人が出てくる…定時運行が当たり前になっている日本では.ニューヨークまでは雷雲のあいだを縫うようにして4時前にやっと着陸.外はムッとする感じでニューヨークらしからぬ暑さ.ラガーディアを経由した事はほとんど無いのでどうやってミッドタウンまで行けばいいか分からず,こんちくしょうと市バスに乗り込む.これは最も安上がりで2ドルで120丁目あたりの地下鉄駅まで運んでくれたが,金曜夕方ということもあって混み混み.地下鉄で50丁目あたりのホテル近くで降りてチェックイン.ようやく寄宿舎生活からホテル住まいになって何となく安心.
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 ニューヨークは93年に留学を終えたあと2回目の訪問だが,今回は前回のときと違い,家族を代表して巡礼の一人としてやってきた.暑い中,地下鉄でダウンタウンまで.以前はトークンで乗っていた地下鉄も今やプリペイドカード.昨日は買い方が分からず,買えないはずの1回乗車カードを2ドルで買って乗り込もうとするとゲートが開かない.販売員に尋ねるとOpen the gate!と言う.何のことやら分からずうろうろしていると親切にも近くの人がここを開けるんだよと自動ゲートのそばの手動の鉄柵を開けて自分もちゃっかりタダで入場していた…とにかくありがとう.今日は今日でメンテ工事のためレキシントン通り線のダウンタウン行きがストップしているとのことで仕方なくセントラルパークを横切って西側にある地下鉄ルートでダウンタウンへ.今はWorld Trade Center Siteとして更地になっているところにて,合掌(写真).Jeffの話ではようやく跡地に建つタワーの構想が決まったが,ニューヨーク市などの公的所有物ではないのでいろいろ難しい問題が残っているとのこと.
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 セントラルパークの休日は相変わらず皆,思い思いの過ごし方でのんびりしている.天候はあまりよく無かったが,左回りでラン1周.およそ12キロぐらいでジョギングのち,40ドルぐらいで高かったがレンタルサイクルでサイズの合わない,チェーンがすぐ外れるバイクを借りて4周.結構堪能させてもらった.Jeff のラボでのセミナーは約1時間のトーク.ロックフェラーの大物免疫学者が2人も聴講に来てくれていた.Jeffのラボの日本人ポスドクの方たちとも夕食を共にしたりして楽しく過ごす.久しぶりに食べる日本食のなんと美味しい事!
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 さて,帰国して1日だけばたばたと所用を済ませて,今度はかねてから計画していた自転車でかずさに行って帰ってくるという決心を実行に移す.かずさでの免疫サマースクールはゴードンの後だったこともあってこのような規模のミーティングの主旨であるeverybody knows everybodyにできるだけ近づく努力を私なりにもやってみたが,自分自身がこのポリシーで活性化されるようで楽しい.それに若い免疫学を志す人たちと触れ合う中で新たなエネルギーをもらったようなそんな充実した3日間を過ごさせてもらった.みなさんに感謝.それにしても台風が早く通り過ぎてよかった.