鳴子〜秋田〜津軽ツーリング(東北海岸線ツーリングシリーズ1)津軽海峡は激坂越えLast updated: 11/3/2008 |
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◆2006年8月4日,晴れ,風弱く26℃〜30℃,仙台〜鳴子〜新庄〜象潟〜由利本荘 今年の夏は北を目指そうと思い立った.奥羽山脈を何度も越えるのは無理なので初日だけ頑張って仙台から山脈の切れ目を日本海に抜け,あとは海岸線を時計回りにグルっと巡るルートで本州最北端の半島巡りを計画.ようやく8月に入って東北地方の梅雨が明けたので,出発は当初の予定どおり4日に. 朝食後,必要最小限の荷物を詰めた小さなハンドルバッグをロードにくくり付けただけの軽装(10kgぐらい?)で5時過ぎ出発.R457岩出山町まで朝霧の中を走り,鳴子峡へ.道は上りだけれど緩やか,楽勝気分でホイホイ上るが,いくら走っても奥羽山脈越えを実感できるような下りにならず,少し下ってはまた上る,の繰り返し.山形側に入ると川面から吹き上がってくる熱風で疲労が増す.芭蕉が舟に乗ったという川べりを過ぎてようやく最上川沿いを下り!と思いきや,ほとんど平坦でなぜか上りも多い.
西目のコンビニで小休止,トラックの運ちゃんが何処から来たんかと聞くので仙台からですと答えると,自転車でか…カア〜…これから何処行くんか?(秋田弁が再現できない),本荘です,もうすぐそこだ,というやりとりの後再びR7へ.しばらく走っていると先ほどのトラックが追い越し際にプワッとクラクション,こちらも手を挙げて応える.18時前にチェックインして即,レストランで漁火定食.小さなホテルなのであまり期待していなかったが,お造り,焼き魚など極うま!生ビールをぐいっと飲んで大満足.230km,12時間50分 ◆8月5日,晴れ,微風,30℃.由利本荘〜秋田〜能代〜深浦 7時においしい朝食,R7を北上.アップダウンの繰り返す海沿いの道は交通量が多く,路肩ばかりを走る.早くも熱中症の前ぶれの目の奥の痛み,首に濡れタオルで凌ぐ.秋田を過ぎ,コンビニの数が激減.途中,自転車旅行中の青年組によく会う.手を挙げて挨拶.八郎潟の広い田園風景のそばを走り,いくつかの町を抜けて能代.ここからまた長いアップダウンの繰り返しで最後は深浦までの峠越え. 深浦の町で予めチェックしておいたホテルに電話をかけるが満室,旅館に電話すると,夕食の用意ができないが朝食付きで部屋はある,と親切そうな伯母さんの声で,とにかくお願いする.近くの料理屋で定食を頼み,生ビールを脱水状態になりかけている体に流し込む. お宿,ここはある意味すごい.おかみさんがお部屋はこっちと案内してくれるが,迷路のような板敷きの廊下は歩くとミシミシ鳴って底が抜けそう,階段は横方向に水平でない.階段を延々上って行かされて部屋は6畳ほど.ちゃぶ台,扇風機.窓は木枠,カーテンは破れているぞ…壁には何やら虫が這っているぞ…お宿の由緒はなんと三百年前の舟問屋に始まるというから納得.ま,野宿よりは有り難いので気を取り直して近くの酒屋さんにビールを買いに出るとお祭り囃子が聞こえてくる.深浦の子供ねぶた祭りだとのこと. 宿の前でねぶたが通るのを待っているとおかみさんがイスとうちわを用意してくれ,同宿のお客さんたち計4人でアブにたかられながら一緒に見る.来た来た,ねぶた.お囃子は町の青年団がやっていてしっかりしているし,小さな山車だけれども,ちゃんと作られていてなかなか勇壮で感動もの.初めてねぶたを見たが,町の人たちの,伝統と子供を大切にしている様子がよく分かった.今日は175km,9時間.ビール残り1缶を飲んで煎餅布団に横になる.誰かの汗がしみていそうな掛布団をお腹までかけて寝ようとするが蚊に喰われ,三百年前の幽霊が出そうでときどき目が覚めてしまう. ◆8月6日,晴れ,30℃,深浦〜鯵ヶ沢〜車力〜小泊〜竜飛岬〜三厩〜小国峠〜蟹田〜青森 6:45ストレッチ,朝食はなかなか美味しいです,ごちそうさま.おかみさんに見送られて出発.暑い中,漁村と低い峠の繰り返しで鯵ヶ沢まで遠く感じる.1時間半かかって鯵ヶ沢に入るがバイパスに自動的に導かれてしまい,ずっと高くまで上らされる.風車が多い.ロード3人組に遭遇,挨拶,お互い暑い中を大変.車力までの農道に入ってからさらに首の後ろが焼けるように熱くフラフラになる. 車力でチェスボローカップ水泳駅伝に参加している,スポーツクラブの仲間たちと再会してしばし歓談,皆さん明るくはじけています,やっぱ夏は水泳だなあと少しうらやましくなる.二日間孤独にひたすらペダルを回すだけの時間を過ごしていて,何となく意欲が低下していたが,仲間に会って元気を頂いた.ぐんと気力が湧いて来てつい,今から竜飛岬を目指します,と言ってしまったので行かざるを得なくなった.水を調達してからまず小泊を目指す.途中,十三湖を過ぎ,また長〜い海沿いの道,景色はいいが暑すぎてそれを楽しむ余裕がなく,お尻も痛い.昨夜に発見したお尻のマメのつぶれた箇所はバンドエイドで応急処置しているが,既に剥がれたのか痛い. 小泊漁港前の峠の登り口のコンビニで昼食,竜飛まであとはコンビニを見かけなかったような気がする.小泊を過ぎてしばらく海沿いを進み,いよいよ上り.これが想定外の胸突き八丁の激坂で,後で地図で確認したらほんの500mほど上るだけなのだが,急な上にどこまで上っても峠の展望台は見えず,初めて蔵王エコーラインにチャレンジしたときの立ちゴケ+骨折寸前の悪夢が甦る.と,上から下りて来た自転車さんが「こんにちわ〜っ!」と元気よく挨拶.仲間を得たようで一瞬元気が出て「こんにちわぁ…」と返すが,声が出ていない. 途中で立ちゴケ寸前になりながら休み休み上るが水もいよいよ尽きたころ,ようやく展望台.自販機はなく,仕方なくトイレの手洗い水を万が一に備えて汲んでおく.この後はやっと下り!猛スピードで降りて風車と灯台と青函トンネル記念館と海峡線殉職者記念碑と小さなホテルの他は何もない竜飛岬へ.石川さゆりの津軽海峡冬景色のサビの部分だけがエンドレステープで流れているが,うるさいぞ.紫陽花がきれい. 急坂を下り三厩の町,少しでも近道,峠越えも止むなしと判断し,今別から県道14号へ,つらい坂を上って小国峠標高175米を超え,県道12号,農村をいくつか通り過ぎて蟹田でホテルの予約.予めリストアップして◯をつけておいたホテルは全て満室,おまけに「今日はねぶたのためにどこもいっぱいで取れませんよ」などと忠告される始末.何の基準だったか忘れたが予め×を付けたホテルに電話すると1室1晩だけ用意できるとの返事でとにかく安心してそこを目指して走る. 建ち並ぶ住宅のために海岸の見えない海岸線に沿って南下,青森市内へ.チェックイン後に近くで生ビールと天ざるそばを食す.ありゃ,そばが延びてますがな.見物客とハネトたちでごった返している街を歩くと,ちょうど山車が転回する交差点なのでしばし見物.昨日の子供ねぶた祭りも良かったが,こちらはど迫力ものでお囃子も独特な風情.部屋に戻り,バイクのそうじと点検ののちビールを飲んで就寝.171km,11時間. ◆8月7日,晴れ,微風30℃,青森〜浅虫〜野辺地〜十和田〜六戸〜八戸〜新幹線で仙台 6:45ストレッチ,朝食.宿のお勘定は1万円越え…やはりねぶた料金だったか.昨晩からどうもテンション下がり気味.お尻のつぶれたマメが擦れるたびに痛む.幸い,心配していた腸脛靱帯炎は一切起こらず,脚もまだ元気なのはいいが,首と肩のハリ,手のひら痛もだんだんひどくなってきた.さらに竜飛岬までの激坂で体力気力,どんな峠でも上るぞという意欲を消耗したせいか,小さな上り坂でもうんざり感を感じるようになってきた.こちらに熱い排気ガスを吹きかけてすいすい走るクルマがうらめしい.景色をめでる余裕が無くなって来た.本州最北の岬巡りの半分は達成したという部分的満足感でモチベーションは下降線…. 今朝テンションを更に下げる出来事が.昨晩サボってしまった水ボトルの洗浄,今朝になって中を開けて見てみたらなんと茶緑色のカビが内面を覆っているではないか…思わず目を背ける.なおこれはあの展望台のトイレの水のせいではない…はず.あの後竜飛岬の手洗いで洗ってアクエリに入れ替えておいたから.ボトルなしでは続行困難なのでなんとか歯ブラシを使ってこすり落としてきれいにしたつもり.昨夜湧かしておいた白湯を使ってヴァームを作り,ボトルに詰めて一口飲むが,気のせいかいつもより苦く,まずい. 7時半出発.今日は本来,大間崎を巡ってからむつ市の予定だったが,とりあえず行けるところまで行って,10時の時点で野辺地を過ぎていなければ一日早く切り上げることにする. 浅虫温泉の直前のR7のトンネル,交通量がとても多いのに皆飛ばしているしトラックも多いにも拘らず道が狭いせいで路肩に余裕がなく,仕方なく30センチほど高く作ってある幅50センチほどの測道をバイクを押して歩く.暗いのに途中にマンホールの鉄の把手がいきなり何本も飛び出していたり,トンネル内にしたたる水のせいで泥濘になっているところがあったり…もしバランスを崩して車道側に倒れると即死やないか!と道路行政の行き届かなさを嘆いたり,早く向こうの明るいところへ出たいと思いながら,歩くためには作られていないシューズでよたよた歩く.さらにテンションが下がった. 野辺地では10:05の微妙な時間.ここまで来たのだから行ってしまえと思って500米ほど下北半島方面に走ったが,すぐに尻痛が辛くなってやはり止めようと思い直す.連日の暑さで熱中症寸前を繰り返してきたために注意力が低く,元気なときには後ろから来るクルマの気配でその距離と大きさを予想し,うまく抜かされるようにスピードを調節できていたのが,今や「勝手に抜いて行って下さい」の状態で,このままでは危険と判断.再びR7のトラックの多い道に戻り,何とか気を取り直してペダルを回す.R45で十和田,六戸を過ぎ,百石,ここから八戸までまた自動的にバイパスに導かれてしまい,ず〜っと坂を上がらされ,下って八戸駅14時ごろ着.輪行袋にバイクを入れ,15:10の「はやて」の最後部座席を頼んでから,ここまでとにかく無事にたどり着けたことに缶ビールで乾杯!102km,7時間. 今回も無事に帰ることができ,安全にパスしてもらったドライバーの皆さんに去年に引き続いて感謝. |
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