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加齢とともに肺機能の予備能は心臓や消化器に比して減少が著明である。そのため、高齢者の呼吸器疾患は、容易にLife-threateningとなる。老年医療における呼吸器疾患の重要性がここにある。

高齢者の肺炎

当教室では、これまで、高齢者肺炎の大部分が不顕性誤嚥を基にした誤嚥性肺炎であり、不顕性誤嚥の予防策としての薬物療法(ACE阻害薬、アマンタジン、シロスタゾール、葉酸、半夏厚朴湯、ガスモチン)、口腔ケア、食後2時間の座位保持、ワクチン接種(BCGワクチンおよび肺炎球菌ワクチン)が高齢者肺炎の予防に有効であることを明らかにしてきた。今後、さらに新たな予防策開発すべく研究を重ねている。

高齢者の気管支喘息

わが国の喘息死は年々減少傾向にあるが、先進国の中では未だ高値を示している。この喘息死のうち高齢者が占める割合は極めて高く、その理由の1つが高齢喘息患者の早期発見、早期治療の遅れであるといわれている。これまで、当教室ではマイクロスモーカライザーで呼気中の一酸化炭素(CO)濃度を測定することで、小児〜高齢者までの喘息患者において喘息増悪の早期診断が可能で、かつステロイド剤による治療効果の判定にも有用であることを明らかにしてきた。今後は、その他の高齢者の呼吸器疾患への応用を行っていく。また、当教室では、難治性喘息を有していた患者が高齢になり認知症に罹患すると喘息発作を生じにくくなることを報告しており、認知機能と喘息発作発症の関連につき新たな角度からの検討を行っている。

高齢者のCOPD

今後、人口の高齢化に伴い、世界的にCOPD患者は急増し疾患別死亡の上位を占めると予想されている。現在、COPDの基本病態は、肺にとどまらず全身の炎症性疾患として捉えられている。当教室ではこれまで、在宅酸素療法を必要とする慢性呼吸不全状態のCOPD高齢患者では、健常高齢者に比して認知機能の低下が著明に認められ、殊にその傾向が女性に顕著であることを明らかにしてきた。今後は、抗炎症効果を有する14員環マクロライド系抗菌薬の少量長期投与もしくはスタチンの長期投与が、高齢COPD患者において病勢進行の抑制効果を有するか否かについて明らかにすべく検討を重ねている。