肺心肺移植関連学会協議会 of 肺および心肺移植研究会

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このページは肺移植の適応や施設認定に関して、肺・心肺移植関連学会協議会の定めた事項を掲示しています。
肺移植を希望する患者様の紹介や、肺移植実施施設としての申請などに際してご活用ください。
肺移植を必要とする患者さんを御紹介の際には、肺移植実施施設紹介のページにある各施設にお問い合わせください。
なお、本ページに掲載の内容につきご不明の点などございましたら、肺・心肺移植関連学会協議会事務局あてご連絡ください。(kyogikai@idac.tohoku.ac.jp)

<1> 肺・心肺移植レシピエントの適応基準(肺・心肺移植関連学会協議会 1996年4月)

Ⅰ. 一般適応指針

 欧米諸国をはじめ移植医療先進国の現状をみると、現時点における臓器移植は、臨床研究的要素を内包しており、肺移植の国債登録にみられる対象症例にも、試行段階的な疾患が含まれている.我が国においては、症例がある程度集積され、手術術式や免疫抑制などもふくめ技術的に安定するまでは、当面肺及び心肺移植の適応対象はある程度限定されるべきである.

  • (1)治療に反応しない慢性進行性肺疾患で、肺移植以外に患者の生命を救う有効な治療手段が他にない.
  • (2)移植医療を行わなければ、残存余命が限定されると臨床医学的に判断される.
  • (3)レシピエントの年齢が、原則として、心肺移植の場合45歳未満、両肺移植の場合55歳未満、片肺移植の場合には60歳未満である.
  • (4)レシピエント本人が精神的に安定しており、移植医療の必要性を認識し、これに対して積極的態度を示すとともに、家族及び患者をとりまく環境に十分な協力体制が期待できる.
  • (5)レシピエント症例が移植手術後の定期的検査と、それに基づく免疫抑制療法の必要性を理解でき、心理学的・身体的に十分耐えられる。

Ⅱ. 適応となり得る疾患

 我が国において、移植医療を開始するにあたり、当面の肺及び心肺移植の対象例としては、日常生活に大きな制限を生じており、肺または心肺移植手術以外に有効な治療法のない次に記す進行性肺疾患を適応とすべきである.また学内あるいは学外の複数の専門医により疾患の診断ならびに適応が確認されていること.

  • ① 原発性肺高血圧症
  • ② 特発性肺線維症
  • ③ 肺気腫
  • ④ 気管支拡張症
  • ⑤ 肺サルコイドーシス
  • ⑥ 肺リンパ脈管筋腫症
  • ⑦ アイゼンメンジャー症候群
  • ⑧ その他の間質性肺炎
  • ⑨ 閉塞性細気管支炎
  • ⑩ じん肺
  • ⑪肺好酸球性肉芽腫症
  • ⑫びまん性汎細気管支炎
  • ⑬慢性血栓塞栓症性肺高血圧症
  • ⑭多発性肺動静脈瘻
  • ⑮α1アンチトリプシン欠損型肺気腫
  • ⑯嚢胞性肺線維症
  • ⑰その他、肺・心肺移植関連学会協議会で承認する進行性肺疾患

Ⅲ. 除外条件

  • (1)肺外に活動性の感染巣が存在する.
  • (2)他の重要臓器に進行した不可逆的障害が存在する.悪性疾患、骨髄疾患、冠動脈疾患、高度胸郭変形症、筋・神経疾患、肝疾患(T-Bil>2.5㎎/㎗)、腎疾患(Ccr<50㎖/min.)
  • (3)極めて悪化した栄養状態.
  • (4)最近まで喫煙していた症例.
  • (5)極端な肥満.
  • (6)リハビリテーションが行えない、またはその能力の期待できない症例.
  • (7)精神社会生活上に重要な障害の存在.
  • (8)アルコールを含む薬物依存症の存在.
  • (9)本人及び家族の理解と協力が得られない.
  • (10)有効な治療法のない各種出血性疾患及び凝固能異常.
  • (11)胸郭に広汎な癒着や瘢痕の存在.
  • (12)HIV(human immunodeficiency virus)抗体陽性.

Ⅳ. 肺・心肺移植の自己管理体制

上記の基準で公平、公正に実施される肺・心肺移植の症例に付いて、当面以下の時点で協議会に報告する義務を負う.

  • (1)適応決定
  • (2)移植の実施
  • (3)定期的なfollow
  • 報告の書式については別途定める.

Ⅴ. 事務局

信州大学医学部 内科第一講座
長野県松本市旭3-1-1
久保惠詞 先生

<2> 肺・心肺移植実施施設認定に関する基準(肺・心肺移植関連学会協議会 2011年10月11日改訂)

肺移植実施施設認定のための一般的条件や申請に必要な書類など関して提示しています。必要な方は、下記の手引きをダウンロードしてご活用ください。

<3> 肺提供者(ドナー)適応基準(公衆衛生審議会臓器移植専門委員会 1997年10月16日)

1.以下の疾患又は状態を伴わないこととする.

  • (1) 全身および肺の活動性感染症.
  • (2) HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原、HCV抗体などが陽性
  • (3) 悪性腫瘍(原発性脳腫瘍および治療したと考えられるものを除く)
  • (4) 臨床的に優位な肺疾患の存在
  • (5) 胸部X線検査における両肺の明らかな異常.

2.肺の機能が良好であること.

  • (1) 肺コンプライアンスが保たれていること.(注1)
  • (2) 肺の酸素化能が維持されている.(注2)

3.年齢:70歳以下が望ましい.

  • 注1:最大気道内圧<30cmH20
  •   (一回換気量15㎖/㎏、PEEP=5 cmH20の条件下)
  • 注2:PaO2>300Torr(FIO2=1.0、PEEP=5 cmH20の条件下)又は、
  • PaO2 /FIO2>250〜300Torr(PEEP=5 cmH20の条件下)

日本呼吸器外科学会誌
12(6)1998巻頭

日本呼吸器学会誌
36(7)1998巻末

日本胸部外科学会誌
46(9)1998巻頭

<4> 肺移植希望者(レシピエント)選択基準(厚労省肺移植の基準等に関する作業班 2010年改訂)

1, 適合条件

(1)ABO式血液型
ABO式血液型の一致(identical)及び適合(compatible)の待機者も候補者として考慮する.

(2)肺の大きさ
肺の大きさは臓器提供者(ドナー)及び移植希望者(レシピエント)の年齢区分に応じ、下記の方法で評価する.

  • 1)臓器提供者(ドナー)及び移植希望者(レシピエント)がいずれも18歳以上の場合
  • (予測VCD注1/予測VCR注2-1)×100の値(%)で判断する.
    • 片肺移植の場合 -30~30%
    • 両肺移植の場合 -30~30%
      • 注1)予測VCD:臓器提供者(ドナー)の予測肺活量
      • 注2)予測VCR:移植希望者(レシピエント)の予測肺活量
      • 予測肺活量の計算式
      • (男性) 予測肺活量(L)=0.045×身長(cm)-0.023×年齢-2.258
      • (女性) 予測肺活量(L)=0.032×身長(cm)-0.018×年齢-1.178
  • 2)臓器提供者(ドナー)及び移植希望者(レシピエント)がいずれも18歳未満の場合
  • (臓器提供者(ドナー)の身長/移植希望者(レシピエント)の身長-1)×100の値(%)で判断する.
    • 片肺移植の場合 -12~15%
    • 両肺移植の場合 -12~12%
  • 3)臓器提供者(ドナー)及び移植希望者(レシピエント)の年齢が1)または2)の場合に該当しない場合
  • (臓器提供者(ドナー)の身長/移植希望者(レシピエント)の身長-1)×100の値(%)で判断する.
    • 片肺移植の場合 -12~15%
    • 両肺移植の場合 -12~12%

(3)前感作抗体
ダイレクト・クロスマッチを実施し、陰性であることを確認する.
パネルテストが陰性の場合、ダイレクト・クロスマッチは省略することができる.

(4)CMV抗体
CMV抗体陰性の移植希望者(レシピエント)に対しては、CMV抗体陰性の臓器提供者(ドナー)が望ましい.

(5)HLA型
当面、選択基準にしないが、必ず検査し、登録する.

(6)虚血許容時間
臓器提供者(ドナー)の肺を摘出してから8時間以内に血流再開することが望ましい.

2, 優先順位

適応条件に合致する移植希望者(レシピエント)が複数存在する場合には、優先順位は以下の順に勘案して決定する.

(1)親族
臓器の移植に関する法律第6条の2の規定に基づき、親族に対し臓器を優先的に提供する意思が表示されていた場合には、当該親族を優先する。

(2)ABO式血液型
ABO式血液型の一致(identical)する者を適合(compatible)する者より優先する.

(3)待機期間
⑴、⑵の条件が同一の移植希望者(レシピエント)が複数存在する場合は、原則として、待機期間の長い患者を優先する.

(4)肺の大きさ
1.(2)の1)又は2)の場合を優先する.

(5)術式による優先順位
術式は、片肺移植、両肺移植の2種類とし、第1術式、第2術式の2つまで登録可能とする.
術式による優先順位は次のとおりとする.

  • 1)臓器提供者(ドナー)の両肺が利用できる場合であり、第一優先順位の選択を行った結果、
  • 第一術式に係る両肺移植希望者(レシピエント)が、第一優先順位となれば、当該両肺移植希望者(レシピエント)を選択する.
  • 第一術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)が第一優先順位となれば、第一術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)で次の順位に位置する者とそれを分けあうこととする.次順位に位置する第一術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)が選択されない場合には、第二術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)の中で優先順位の高い者と分け合うこととする.
  • 第一術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)が第一優先順位となり、第一術式、第二術式を考慮しても片肺移植希望者(レシピエント)が1名のみである場合、
  • 当該片肺移植希望者(レシピエント)が第二術式として両肺移植を希望していれば、当該移植希望者(レシピエント)を選択し(注1)
  • 当該片肺移植希望者(レシピエント)が第二術式として両肺移植を希望していなければ、両肺移植希望者(レシピエント)の中で優先順位の高い者を選択する(注2).ただし、当該片肺移植希望者(レシピエント)が優先すべき親族であるときには、当該片肺移植希望者(レシピエント)を優先する.
  • (注1)当該移植希望者(レシピエント)は必ずしも両肺移植を受ける必要はない.
  • (注2)この場合に限り、術式を優先し、片肺移植希望者(レシピエント)より両肺移植希望者を優先する.

  • 2)臓器提供者(ドナー)の片肺のみが利用できる場合には、第一術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)の中から優先順位の高い者を選択する.第一術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)が選択されない場合には、第二術式に係る片肺移植希望者(レシピエント)の中から優先順位の高い者を選択する.
  • 3)1)、2)の結果、ABO式血液型が一致する移植希望者(レシピエント)が選択されない場合、ABO式血液型が適合する者について、1)、2)と同様の手順により移植希望者(レシピエント)を選択する.

3, その他

(1)臓器提供者(ドナー)又は移植希望者(レシピエント)が6歳以上18歳未満の場合、その予測肺活量については、以下の計算式を参考にすることができる.
 予測肺活量の計算式(6歳以上18歳未満の場合)
(男性)予測肺活量(L)=2.108-0.1262×年齢+0.00819×年齢2-3.118×身長(m)2
(女性)予測肺活量(L)=1.142-0.00168×年齢2-2.374×身長(m)2+2.116×身長(m)2

(2)
基礎疾患、重症度などによる医学的緊急度は、将来考慮されるべきである.また、この基準は、実績を踏まえて見直しを行う必要がある.

<図>肺移植希望者(レシピエント)の登録および選択の手順

登録および選択手順.pdf