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トロトラストは二酸化トリウムの25%コロイド溶液で、投与時に急性の副作用がないことから、主に第二次世界大戦中に傷痍軍人に対して血管造影剤として使用された。しかし、トリウムは自然α線放射性物質であり、投与されたトロトラストは所謂細網内皮系に沈着した。大半は肝臓に沈着し、長期微量のα線被ばくの結果、肝悪性腫瘍を誘発することが知られている。本アーカイブは、長期にわたる放射線内部被ばくの生物学的影響とリスク評価のための疫学調査と放射線による発がんの分子機構の解明を目的として、日本国内の病理学的データを中心にまとめたものである。
本アーカイブはヒトの症例であること、患者の身体学的特徴が比較的均質であること、主な臓器の沈着量と累積線量が正確に評価されていること、病理学的診断が確定していること、各症例ごとに報告された学会・専門雑誌が記載されていること、病理組織試料を含むことなど、あらゆる方面のデータが完備していることが特徴である。そのため、本アーカイブはヒトにおける放射線内部被ばくがんについて、世界に類をみない症例数と情報の質を誇っている。
全データの電子化により、研究者が閲覧・利用しやすい検索データベースを作成した。本ホームページには個人情報保護の立場から通し番号・性別・注入時年齢・投与量・潜伏期間・肝沈着量・発症腫瘍の組織形のみを掲載している。
本アーカイブから得られた成果の発表論文リストも併せて記載している。
当時は最良と考えられた医療行為が結果的に尊い人命を犠牲してしまったという経緯を踏まえ、本アーカイブによって放射線のリスク評価ばかりでなく、ひろくヒトの発がん予防に寄与できることを希求する。
最後に、本アーカイブを構築するに当たって、このアーカイブは森竹三郎博士の尽力を礎として完成したことを明記し、協力をいただいた国内全ての病理医・研究者・技術者の方々に深謝いたします。
症例番号