田中耕三 研究室 Department of Molecular Oncology-ごあいさつ

分子腫瘍学研究分野へようこそ!!


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 分子腫瘍学研究分野は2011年3月に加齢医学研究所腫瘍制御研究部門に開設された新しい研究分野です。私たちは細胞分裂期に焦点をあて、その制御機構及びがんとの関連について研究しています。
 細胞が分裂する時に染色体が2つに分配される様子は、100年以上前から科学者を魅了し続けてきました。しかしその精巧なしくみが分子レベルで明らかになってきたのはごく最近のことです。この染色体分配の異常ががん化と密接に関連していることは、ほとんどのがん細胞で染色体数の異常(異数性)が見られることからも明らかです。しかし異数性ががん化の原因なのか結果なのかについての決着はまだついていません。一方がん治療の側面から見ると、細胞分裂期に作用する一群の抗がん剤は、細胞がもっている正確な染色体分配のための機構を利用して作用していますが、その詳細についてはまだよくわかっていません。私たちはこれらの問題について、生きた細胞を顕微鏡で観察することによって研究しています。染色体が紡錘体の中央に整列して一斉に分かれていく様子は、細胞内で起こるもっともダイナミックな過程であり、何度見ても見飽きることはありません。一人でも多くのみなさんとこの感動を分かち合い、生命の神秘を解き明かしていけるような活力ある研究室にしていきたいと思います。

          東北大学加齢医学研究所分子腫瘍学研究分野教授
                    田中 耕三