研究内容
当研究室では、細胞傷害性をもつ細胞、NK細胞やT細胞に着目して、がん、自己免疫疾患、アレルギー、感染症など種々の疾患の病態解明、新規診断・治療法の開発を行っています。
1)NK細胞、NK受容体の研究
Natural killer (NK)細胞は、生体防御の最前線で働く細胞で、感染症、がんの排除にかかわっている。NK細胞は、活性化受容体と抑制性受容体の2つの受容体を用いて標的細胞を認識する。我々は、特にNKG2Dという活性化受容体に着目して研究を進めてきた。このNKG2Dと結合するのがNKG2Dリガンド(NKG2DL)であり、酸化ストレスや紫外線などで発現することが知られており、ストレス誘導性分子であることから、細胞の“Danger
Signal”と考えられている。
肺移植において、移植後の閉塞性細気管支炎は術後死亡の主要原因であり、その分子機構の解明が求められていた。呼吸器外科教授 岡田先生らとの共同研究で、異所性気管移植をマウスを用いて行ったところ、同種異型移植においてNK細胞が集積することが判明した。そして、NK細胞を除去したり、細胞傷害性にかかわる分子であるパーフォリンを欠損させた場合には閉塞性細気管支炎が減弱した。さらに、同種異型移植による移植組織の変化を調べたところ、肺上皮細胞にNKG2Dリガンドの発現上昇が認められ、NKG2Dを介したNK細胞の活性化によって、肺上皮細胞の傷害が引き起こされ細気管支炎の閉塞を引き起こすことが明らかとなった。加えて、抗NKG2D抗体の投与により、閉塞性細気管支炎の発症が抑制されたことにより、NKG2Dは拒絶反応の治療標的の1つであって、抗NKG2D抗体は、臓器移植拒絶反応を防ぐ新薬となりうると考えられた。米国移植学術誌に論文掲載され、共同通信はじめ全国38の新聞でも報道された。
2)腫瘍免疫研究
NKG2Dリガンド(NKG2DL)は細胞の“Danger Signal”であり、発がんに伴って発現する、すなわち、NKG2DLはがんの目印であることも知られている。我々は、がん細胞とNK細胞と一緒に培養した際に、NK細胞が死ぬ現象を発見した。この現象について研究をすすめたところ、
@ NK細胞は、がん細胞上にありがんの目印であるNKG2DLを認識して殺す。
A NK細胞は、がん細胞を殺した際に、NKG2DLを奪ってしまう。
B 奪ったNKG2DLはNK細胞上に発現する(NKG2DL+NK細胞)。
C NKG2DL+NK細胞は、がんの目印であるNKG2DLを発現しているので、隣にあるNK細胞によってがんと間違えられて殺される。
という機構があることが明らかとなった。
3)自己免疫疾患の病態解明
我々は、自己免疫疾患もストレスの一種と考えられることから、NKG2Dリガンドの発現について、I型糖尿病モデルマウスを用いて解析したところ、通常発現していない膵臓で、NKG2Dリガンドが発現していることを発見した。そして、キラーT細胞上にNKG2Dが出現し膵臓を破壊していることもわかってきた。抗NKG2D抗体を投与すると糖尿病の発症を抑制できることから、自己免疫疾患の新たな薬になりうると考えられた。現在、全世界で臨床第II相の治験が行われている。
4)膜分子移動の発見とその研究展開
細胞の機能発現には、DNAの遺伝情報が、RNAに転写されタンパク質に翻訳されることによりなされる。我々は、NK細胞の表面抗原を研究する過程で、活性化NK細胞上にMHC
class IIが発現していることを発見した。MHC class IIは抗原提示細胞に発現する分子であり、マウスNK細胞にはMHC class
IIなど存在しないものと考えられていたため、その発現について詳しく調べたところ、このMHC class IIはNK細胞自身が産生しているのではなく、樹状細胞との相互作用でMHC
class IIを獲得していることが判明した。これまで、自己の目印となるMHC分子は、遺伝子により発現が厳格に調節されていると考えられていたが、MHC
class II分子は引き抜かれても機能すること、免疫反応を促進するNK細胞が、後天的変化でMHCII dressed NK細胞になることにより、全く逆の免疫抑制細胞に変化することが明らかになった。MHCを獲得し後天的に細胞が変化する(ドレス:ドレスを身にまとうように後天的に細胞が変化)ことの発見は、免疫応答が遺伝子調節だけではなく繊細な調節機構によって行われていることを示している。このドレスを着脱するように後天的に細胞を自在にコントロールする方法が見つかれば、T細胞が関与する疾患の新たな治療法となりうると期待される。
5)新型コロナウイルス感染症など感染症研究
新型コロナウイルス感染症は世界に蔓延しており、重症肺炎が引き起こされることが報告されている。自然免疫系においてToll like Receptor(TLR)と呼ばれるパターン認識受容体は、ウイルスRNAを認識することが知られているが、新型コロナウイルス感染において、TLRの関与はよくわかっていない。また、ウイルスには変異型が存在することも報告されているが、新型コロナウイルスの変異の特徴についてはよくわかっていなかった。
コロナウイルスはRNAウイルスに分類され、RNA校正酵素をゲノム内に持っている。新型コロナウイルスにおいても、RNA校正酵素を持っていることが確認された。そのため、遺伝子変異の頻度は少ないと考えられるが、変異が引き起こされて変異株が蔓延している。そこで、発生初期に検出された武漢型のウイルスゲノムをもとに、2020年3月までに世界に蔓延しているウイルス型7804種類のゲノムの塩基配列を集めて、系統樹を作成してその遺伝子変異について解析した。
新型コロナウイルスの遺伝子変異には特徴があり、点変異が多いこと、点変異の中でもウラシル(U)への変異が3500回以上と突出して多く、遺伝子変異には塩基の偏りがあった。この変異は、シトシン(C)からウラシル(U)への変異が多いこと、そして、変異部位の領域には塩基配列に特徴があった。この遺伝子変異の特徴は、APOBECやADARなどのRNA編集酵素が作用した時の変異と一致していた。
武漢型RNAと変異型RNAの比較においては、疑似感染モデルにおいて、変異型RNAが、武漢型に比べTNF-α, IL-6の産生の増強が顕著であった。また、これらRNAは、主にTLR7を介してサイトカイン産生を誘導していることも明らかとなった。
RNA編集酵素は、新型コロナウイルスゲノム中には存在せず、ヒト細胞中に存在することが明らかとなっている。このことから、新型コロナウイルスのゲノム変異は、ヒト由来の酵素によって起こっていると考えられる。このことから、新型コロナウイルスは、感染後にヒト生体防御機構による排除の選択圧を受けることで、ゲノムに変異を入れて変化し続けていると考えられた。
感染症対策上、変異株の特徴や変異部位の可視化は必須の情報である。我々は、公共データベースより新型コロナウイルスゲノム塩基配列を収集して、変異の特徴を分析し可視化するアプリケーションを作成した。また、新型コロナウイルススパイクタンパク質部分の塩基配列から人工合成タンパク質を作成し、新型コロナウイルスに対する抗体を検出して定量できるELISA法を開発した。本法を用いて患者血漿を測定したところ新型コロナウイルスに対する抗体を検出できた。さらに、患者抗体について、本法と第三世代免疫レパートリー解析法とを統合して解析したところ、抗体の量と質、および臨床症状との相関があることが判明した。
6)健康の免疫評価
免疫細胞は、数多くの病原体やタンパク質に反応できる能力がある。そのため、T細胞受容体は、理論値として10の18乗通りもの多様性をもっているとされる。ヒトの全細胞数が60兆個(10の13乗)であるが、T細胞受容体の多様性は、桁違いの数であり、全ての抗原に対応できると言ってよい。このT細胞受容体の種類のパターンはレパートリーと呼ばれており、T細胞受容体
レパートリーには、数多くの情報が秘められていると考えられている。我々、このT細胞受容体レパートリーを解析して、疾患特異的T細胞受容体を特定し、創薬あるいは新事業の創出を目指している。現在、遺伝子特異的非バイアス遺伝子増幅法を開発し、次世代シークエンサーを用いて、T細胞受容体レパートリーを網羅的にかつ、世界最高精度で解析する技術を開発した。これを用いて、健康の免疫評価を進めている。
実験の様子
先輩たちの声<基礎実習学生>
僕は初めて研究に触れることのできる機会として、基礎実習では様々なことを経験させてもらえる研究室に行きたいと思っていました。各研究室の説明の時に、「やる気のある学生はうちの研究室に来てください」とおっしゃった小笠原先生の言葉を聞いて、この研究室なら僕たちのやる気に応じて先生方も熱心に指導してくださると思い、難治疾患・口腔免疫学講座を選択しました。
基礎演習の時間では、最初に英語の論文を全訳しました。専門用語も英単語も、さらには免疫や実験に関する知識も浅かったため非常に苦戦しました。しかし、この演習の時間を通してだんだんと論文を抵抗なく読めるようにもなり、その中で論文の構成についても細かく指導していただけたので、とても勉強になりました。
基礎実習では、日々考えながら積極的に研究を行うことができました。何より小笠原先生をはじめ、スタッフの先生の丁寧なご指導のおかげで、悩みながらも楽しく研究をすることができて本当に感謝しています。最初に僕が思ったとおり、自分たちが一生懸命研究すればするほど、先生方もさらに熱心にご指導してくださり、様々な経験もさせてくださったので、ここで研究できて本当によかったと思っています。
最後に、この3ヶ月間ご指導くださった先生方、本当にありがとうございました。(ES)
私は花粉症などのアレルギーがあるので元々免疫反応に興味があったということと、基礎の免疫学の講義でNK細胞やT細胞などについて学んだ際にそれらについて、もう少し深く学んでみたいという希望があったので、昨年から度々こちらの小笠原研究室に出入りさせて頂き、5年生前期の基礎演習と後期の基礎実習についても引き続きお世話になりました。
基礎演習では論文を読むことを通して論文の構造と読み方のポイントを学び、論文作成の仕方の基本についてきちんと学ぶことができました。また、基礎実習では、学部生ながらも、既に結果が明らかになっているような実験をこなすというような今までの受け身的なものではなく、設定した研究テーマの背景を知ることで広がってゆく自分の知的好奇心に従って思考力をフル稼働させ、自分の手で以て実験を行って、求めていた結果を得るという貴重な経験をすることができました。時には思うような結果が得られなかったり、失敗したりして躓き、研究室の諸先生方に支えられ、研究は一人では成し得ないのだということも身をもって感じました。
この実習期間は短い期間ではありましたが、学部生という比較的早い段階で論文や実験の基本的な知識や手技を身につけることができ、大変貴重で有意義な時間であったと思います。また、小笠原研究室では、実習期間中には研究するばかりでなく、臨床の場で活躍する先生方のお話を伺うこともでき、自分の将来を真剣に考える一助となりました。
最後になりましたが、小笠原先生をはじめとして研究室の皆様には大変お世話になりました。本当に有り難うございました。(ME)
わたしはマウスを使った実習をさせていただきました。生き物を扱うため、ミスをしてやりなおしとならないように実験操作には十分気をつけて実習に臨みました。しかし、実験結果の測定の仕方が難しく、どうやって進めていけばいいか悩みました。しかし、担当の先生がアドバイスをくださり、丁寧に指導をしてくださったので当初計画していた流れで実習を終えることができました。わたしは「金属アレルギーの交差反応の検出」というテーマで実習をしましたが、はっきりと交差反応を検出することは残念ながらできませんでした。しかし、結果をはっきりと出すことはできなかったけれども、何が原因で上手くいかなかったのか、また実験方法にどんな改善点があるのか、ということを自分なりに考えることができたと思います。今回の実習を通して、問題解決のために考える力が以前よりも身に付いたと思います。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。(AI)
今回の基礎演習・実習は私にとって大変有意義で学ぶことの多いものでした。
基礎演習は英語の論文を読むだけでなく、それを全訳するというものであったため、決して楽なものではありませんでした。しかしそれを通じて、自分が今まで勉強してきたことをどれほど覚えていないのかを痛感しました。同時に論文を読んで理解し、研究をしていくためには、授業の範囲以上の専門知識をつける必要があり、そのための勉強もしていかなければならないということを、身をもって知る良い機会となりました。
基礎実習はやはり研究とはどのように行っていくのかということを、担当の先生のご指導の元、実際に実験を行っていくことで知ることができる良い機会でした。実験はただ漠然とすれば良い訳ではないため、時には事前に資料を見つけて学習しておく必要もあり、また想像していた結果とならないこともあるので大変な部分もありましたが、同時に考えをめぐらせ、その考えが少しでもあたっていた場合や良い実験結果が得られた時には喜びを感じられました。
またこの期間中に研究室に出入りすることで研究室の雰囲気を味わい、研究室の方々と接することで、今の自分にとって社会的な面で足りない部分や改善すべき点を認識できました。さらに研究に携わってきた中で経験したこと等をお聞きできたことは、今後の自身の進路を考える上で大変参考となりました。
小笠原研究室では大変有意義な時間が過ごせると思いますので、少しでも興味のある方には一度見学に行かれることをお勧めします。
最後になりましたが、御忙しい中ご指導して下さった研究室の皆様、本当にありがとうございました。(TK)
私は、基礎実習の半年間こちらの研究室でお世話になりました。
論文を読む際は、構造やポイントなどを詳しく教えて頂くことができました。また、研究計画書を書くため研究テーマや実験方法などを自分で考えましたが、初めてのことでとても難しいながら大変勉強になりました。私はNK細胞について興味があったので、それに関連したNKG2Dリガンドについての実験を行いました。実験の方法や原理など、最初はほとんど分かりませんでしたが、詳しく解説していただくことができました。実験は思った以上に難しく、失敗続きでしたが、どこの手順で失敗したか考えることはとても勉強になりました。2ヶ月という短い期間でしたが、実験というものに触れてみて研究に興味をもつことができました。
最後に、お忙しい中ご指導してくださった先生方ありがとうございました。(MN)
基礎演習、基礎実習と約半年間小笠原研究室でお世話になりました。基礎演習では英語の論文を和訳したうえで、先生に論文の構成や読むポイントを教えていただきました。その後の基礎実習で、私はシリカによる炎症誘発の研究を行いました。歯学部ではこれまでに1つのテーマを掘り下げて学ぶ機会がなく、最初はどのように研究を進めるか、どのような実験を行えばよいのか全く分かりませんでした。そのため不安もありましたが、先生方は器具の操作法など基本手技から研究の進め方まで丁寧に指導してくださり、結果を得ることができました。また、研究室の非常勤講師である開業医の先生方とお話しする貴重な機会も設けていただきました。短い期間ではありましたが、今回の実習を通して研究の楽しさを味わうことができました。最後に、お忙しい中指導して下さった先生方にはとても感謝しています。本当にありがとうございました。(MI)
私がこの研究室に配属を希望したのは、他の学部では5年生というと大学院に進んだり、就職したりしている中で、自分も今までにないものを得たいと思ったからでした。
この3カ月は大変充実したものでした。最初右も左もわかりませんでしたが、先生方が基本から難しいことまで幅広く丁寧に教えてくださりました。これまで基礎の授業は座学がメインでしたのであまり触れることのなかった研究の世界に触れることができ、とても勉強になりました。私は、アレルギーに興味があったので、ヘアレスマウスを用いた金属アレルギーの研究をさせていただきました。その中でピペットマンの使い方から蛍光染色の仕方まで実験の方法や、金属アレルギーの研究の実態、臨床の問題点なども学ぶことができました。設備が素晴らしく整っているなかで研究することもなかなかない機会だと思います。良いのかなと思うくらい先生方は実験設備を使わせてくださり、とても実のある研究ができたと思います。この研究室に入ってよかったと思うことは自分でテーマを決めて、それに向けた研究ができたことです。自分で実験計画書を書きそれに沿った研究を進めていくのですが、その実験をするための研究の背景、方法などは教えていただけたので、考えながら研究することができました。また、小笠原先生のご厚意により、開業なさっている先生方のお話が聞けたことも大変勉強になり、将来を考えるきっかけをいただきました。
最後に、小笠原研の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。(AT)
私は基礎実習を小笠原先生の研究室にて行いましたが、この実習期間は私にかけがえのない経験と知識、考え方を与えてくれるものでした。小笠原研では自分の興味あるテーマを選んで研究できます。私はもともと免疫学に興味があったので、実験テーマには金属アレルギー、リンパ球移植を二本柱に組み入れました。今までの授業とは違って、研究ではいつだって自分が主体となって実験を行います。本実験に必要な条件を検討し、実験系を組み立てていき、結果が誰にもわからない初めての実験計画を進めていくのです。その過程は、不安が募り大変なこともありますが、やりがいのある毎日を過ごせたように思います。躓いたときにはスタッフの先生とともに話し合い、アドバイスをいただいて解決への糸口を探ります。試行錯誤の後に得られた実験結果には、これまでに味わったことのない興奮と感動を覚えました。研究の醍醐味を確かに感じた瞬間でした。
実験の知識がない、手技が未熟だからといって研究を恐れることはないと思います。私たちもゼロからのスタートで実験に必要な知識、手技を学んでいきました。積極的な気持ち一つで小笠原研の先生方は応えてくれます。皆さんも小笠原研究室で知的な感動を体験してみてはいかがでしょうか。(AD)
5年生前期の基礎演習、9月10月の基礎実習と、こちらの研究室にお世話になりました。小笠原教授のご指導の下、私は「金属イオンによるTLRの刺激」というテーマで研究をさせていただきました。実験内容は、単核球の分離・培養、刺激、サイトカイン検出という一連の流れで、無菌操作、器具の扱い方等を一から懇切丁寧に教えていただきました。先生方のお陰で、無事納得のいく実験結果を出すことができた際には、感動が大きかったです。
また、5年生というと、進路に悩む時期ですが、臨床の先生方が研究室にいらっしゃることも多く、お話も伺うこともできました。
これまでの歯学部の授業では、どちらかというと既知の事柄を学ぶことが多かったのですが、今回の研究において、短い期間ではありましたが、新しい発見をする、という楽しさが少し分かったような気がします。
貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。(MO)
私は、基礎演習と基礎研究の約半年間、小笠原研究室でお世話になりました。
研究に携わるのが初めてで不安もありましたが、論文の読むポイントから基本的な実験手技までわかり易く教えて頂きスムーズに自分の研究に移行することができました。今までの勉強というと教科書に載っていることを理解して覚えていくスタイルでしたが、基礎実習では今現在までわかっていることを理解した上で自らの論理力を以って世界中のどの教科書に載っていないことを探求していくという理系の学生としての楽しさがたくさん詰まっていました。
当研究室には世界の最先端で活躍されている研究者や臨床家の先生方が来訪なさることがあり、様々な観点からのお話を伺い自分の視野を広げることができました。また適度に企画される花見、芋煮会等のレクリエーションで研究室の先生方、メンバーとの交流も深められました。
世界の先生方、最高の研究設備、そして快適な勉強空間と非常に恵まれた環境の中に身を置いて研究に携われたこの半年間は、大学生活の中で最も充実した期間の一つになりました。(AI)
私は、歯科と関連の深い金属アレルギーの研究がしたかったので小笠原先生の研究室への配属を希望しました。9月〜11月の3カ月間お世話になりましたが、この研究室での3カ月間はとても充実したものでした。今までにやったことのある実験と言えば1年生の時の自然科学総合実験くらいで、それ以外の知識はほとんどありませんでした。そんな私のために最初の1カ月間を使って、実験器具の使い方、薬品の取扱い方法などを1から丁寧に教えていただき、基礎的なところをしっかりと学ぶことができました。そして、その知識をもとに、残りの2カ月間で自分の興味あるテーマで実験を進めていきました。今までの授業は、いわば受動時なものが多かったのですが、今回の基礎実習では自分で実験計画を立てて研究していかなければならないので、大変勉強になりました。先生方は、私たちと同じ立場に立ってディスカッションをしながら実験へのアドバイスをしてくださるので、質問もしやすかったです。研究室へ行くのが毎日楽しみでした。たった3ヶ月の配属でしたが、小笠原研は、自分をひとまわりもふたまわりも成長させてくれるところだと思いました(MU)。
基礎実習の2ヶ月半の間、小笠原研にお世話になっていました。ここでは、最初に研究室のスタッフの方々に指導をいただきながら基本的な実験手技を学び、その後、自己免疫疾患(糖尿病)に関する分子生物実験に携わりました。
歯学部5年生の大半がそうであるように、私自身も実験の進め方などに関してはほとんどわからない状態で基礎実習に入ったわけですので、実験をしていて失敗したこと、上手くいかなかったことは数多くありました。しかしその度に、スタッフの方々とディスカッションを重ねて、解決への糸口を見つけることができました。さらに小笠原研の場合、加齢研という施設の特性上、歯学部には馴染みの薄い学部・研究室の方との接することができるという点も魅力的なのではないでしょうか。
基礎実習の2ヶ月半は確かに忙しい毎日でしたが、それだけに得るものは多かったように思います。歯学部5年生にとって夏にはCBT等もあり大変かと思いますが、臨床実習が始まるまでの期間を有意義なものにしてみませんか?(AO)