私達は警戒区域内の家畜が安楽殺されることを知った直後から、放射性物質の地球環境と未来の人類にどのような影響を及ぼすかを知るための基礎となるようなことができないか、と考えました。 放射線の内部被ばくの人体への影響の研究は簡単ではありません。そこでまず第一歩として、警戒区域内で安楽死された家畜をただ単に土に還すだけではなく、役に立ってもらうために、家畜の臓器別の放射性物質を見極め、それらの濃度計測を行うことを始めました。 同時に、臓器別に顕微鏡の標本を作って変化を検討し、 各臓器を凍らせて超低温に保存しています。また、世代を越えた子孫への影響を知るために、精子や卵子の冷凍保存も行なっています。
組織と研究概略図臓器別の放射性物質による内部被ばく量の測定を行うために、各臓器の摘出と解析を行っています。 警戒区域内で行われている動物のと殺(安楽死)後、速やかに臓器を摘出し、放射線量測定、放射性物質核種の解析、遺伝子変異の有無の解析といった様々な解析に用います。 これは、放射性物質が人体に与える影響を予測する上で重要なデータになります。
警戒区域内の各箇所の空間線量を測定するだけではなく、草、土壌の放射性物質による汚染量を解析しています。 そこで暮らしていた動物の臓器別放射線量の解析結果と合わせる事で、放射性物質の環境汚染と生体への影響の関係性を解析しています。
放射線が後の子孫に与える影響を調べるため、放射性物質に汚染した牛の精子、卵子を用いた解析を行っています。 また、これらの精子、卵子から正常胚が発生するかの解析を行っています。
成長に伴う放射性物質の沈着量を調べるために、成長とともに成長する歯・骨の放射性物質量を指標に解析しています。
放射線の免疫細胞に対する影響を解析するために、末梢リンパ球、白血球の遺伝的変異の有無を解析しています。
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