~原発事故と放射性物質~
被災動物の包括的線量評価事業

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福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域内に残された牛における人工放射性物質の体内分布を明らかに

福島第一原発事故によって大量の放射性物質が環境中に放出しました。 この原発事故に伴う放射性物質の体内動態と内部被ばく線量を評価するための基本データを得ることを、 この研究では目的としました。福島原発から半径20km圏として設定された警戒区域内に残され、 2011年8月29日から11月15日の間に安楽殺された、川内村と南相馬市の79頭の牛について臓器別に γ線を放出する放射性物質の放射能濃度を計測しました。すべての臓器でセシウム134とセシウム137の放射能が ほぼ1:1の濃度で検出されました。さらに、半減期の比較的短い放射性銀110mが肝臓に、 テルル129mが腎臓に特異的に集積していました。回帰解析の結果、 臓器中の放射性セシウム濃度は血液中の放射性セシウムに比例しており、骨格筋で最も高く、 血中の約21倍でした。また、各臓器別に放射性セシウム濃度を比較すると、臓器によらず母親に比較して胎児で1.2倍、 仔牛で1.5倍でした。放射性セシウムの放射能濃度は牛の捕獲場所と餌に依存していました。 本報告は福島原発事故に関連して警戒区域内に残された牛の放射性物質の体内分布に関する系統的な研究成果です。
 なお、本研究は東北大学加齢医学研究所、農学研究科、理学研究科、高等教育開発推進センター、歯学研究科、山形大学、新潟大学、放射線医学総合研究所、理化学研究所の共同研究として行われました。

学術論文はこちら(PLoS ONE)からご覧いただけます。

<解説図>
横軸:血中のセシウム137濃度、縦軸:各臓器の同濃度
プロット1・3は南相馬市の牛、プロット2は川内村の牛
また、プロット1は畜舎内での飼育、プロット2・3は放れ畜状態
研究組織図

第102回日本病理学会総会において日本病理学賞を受賞

加齢医学研究所 病態臓器構築研究分野の福本 学教授は、平成25年6月7日、第102回日本病理学会総会において日本病理学賞を受賞し、受賞記念講演として宿題報告を行いました。 同賞は日本病理学会より、トロトラスト症病理標本を用いた内部被ばく発癌機構解析、臨床的放射線耐性細胞の樹立による放射線耐性機構解析、さらには東京電力福島第一原発事故による環境、生物、ヒトへの影響研究を行う“被災動物の包括的線量評価事業”の活動、など一連の放射線病理学への多大な貢献が評価され、授与されたものです。 なお、授賞式は同日にさっぽろ芸文館にて行われました。



XXIII ISMS 2013 International Symposium on Morphological Sciencesにおいて研究発表

第23回国際形態科学シンポジウム(XXIII ISMS 2013)において、新潟大学の山城先生が研究発表をされました。

Effects of chronic radiation exposure associated with the Fukushima Nuclear Plant accident on the testes.
Yamashiro H, Abe Y, Kuwahara Y, Kino Y, Fukuda F, Kobayashi J, Tong B, Yamada T, Sekine T, Isogai E & Fukumoto M.
2013 International Symposium on Morphological Sciences (XXIII ISMS 2013).
Toki Messe Niigata Convention center, Niigata, Japan.
From 10 to 13 September, 2013.

XXIII ISMS 2013(PDFファイル)

家畜と農地の管理研究会の公開シンポジウムにおいて講演

家畜と農地の管理研究会の公開シンポジウムにおいて、東北大学の磯貝先生が講演されました。

公開シンポジウム
『福島原発警戒区域内に残された牛と農家』- 家畜と農地の管理研究会の活動を通して –
【日時】2013年9月14日(土)  開場12:30 開催13:00~16:00
【会場】東京大学農学部・弥生講堂

「福島第一原発被災地域における研究成果と今後の課題」
牛の生体内放射能汚染分布
東北大学大学院 農学研究科 教授 磯貝 恵美子


平成25年度 被災動物の包括的線量評価事業 報告会が開催されました。


平成26年 3月1日(土) 東北大学加齢医学研究所 スマートエイジング棟1階 国際会議室

福本教授が放射線影響協会功績賞を受賞しました。

公益財団法人放射線影響協会により、これまでのトロトラスト症の病理標本、臨床的放射線耐性細胞の研究、福島での被災動物の包括的線量評価事業の活動が認められ、「放射線影響の病理学」として、平成25年度放射線影響協会功績賞を授与されました。
写真は平成26年4月18日に行われた贈呈式です。

受賞者

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