研究内容

生き物のからだを作っている全ての種類の細胞の元となり、さらに複雑な形態形成へと繋がる生殖細胞の不思議な能力が、どのようなメカニズムによって制御されているのかに興味を持って研究を進めています。

哺乳動物では胎仔(胚)発生の初期段階で、まず分化万能性をもつ多能性幹細胞が形成され、そこから生殖細胞を含む、さまざまな細胞が分化します。からだを構成する体細胞の場合には、分化後さまざまな機能を果たす細胞として役割を全うしたのち細胞死を起こしますが、生殖細胞だけは精子と卵子へ分化し、それらが受精することにより再び個体発生全能性を持つ受精卵に戻るという性質を持っています。生殖細胞が分化し、卵子や精子が形成される過程では、核の中の遺伝子の働き方の制御に深く関わっているエピジェネティックな状態や、細胞のさまざまな生理機能に直結する代謝状態が、体細胞では起こさないような変化をしていることが明らかになり、このような変化が生殖細胞の不思議な性質と深く関わっていると考えられています。

また細胞の分化は、普通は後戻りすることはありませんが、分化途中にある生殖細胞は、いくつかの増殖因子とともに培養すると、短時間で多能性幹細胞へ戻ることが明らかになっています。このことから生殖細胞と多能性幹細胞は性質が異なっていますが、容易に相互変換できる関係にあると考えられます。また生殖細胞以外の分化細胞でも、細胞分化多能性の鍵となる転写因子などを強制的に発現させることでiPS細胞へと変化することがわかっており、分化細胞が多能性幹細胞へ後戻りする再プログラム化のメカニズムには、共通した原理があるように思えます。

このような生殖細胞や多能性幹細胞に関係した研究によって、私たちのからだの成り立ちを最初にコントロールしている根本原理を解明し、またそれによって不妊や先天性異常の原因解明や治療、さらに再生医療に役立てたり、また有用な生き物や希少な生き物を増やしたり保存したりする新しいテクノロジーを作り出せるのではないかと考えています。

図1 生殖細胞と多能性幹細胞の関係

具体的には次に挙げるようなテーマで研究を行っています。

私たちは最近の研究により、胎仔期の未分化な生殖細胞の始原生殖細胞(PGC)では、代謝状態が多能性幹細胞や体細胞とは大きく異なっていることを明らかにしました。また胎仔期生殖細胞が培養下や胚の中で多能性幹細胞へ再プログラム化される分子機構や、多能性幹細胞および体細胞が生殖細胞特異的遺伝子の発現を抑制している分子機構を見いだしました。さらに癌細胞と精巣生殖細胞で特異的に発現する遺伝子の制御機構を示しました。その内容を以下に説明します。


1 精子とがん細胞の意外な接点‐がん・精巣抗原タンパク質TEKT5による精子形成とがん増殖の制御機構-

がん・精巣抗原(CTA)は、ヒトがん細胞と精巣で、共通して特異的に発現するタンパク質として同定され、これまでに270種類あまりのヒトCTA遺伝子が同定されています。そのうちのいくつかは、がん細胞または精巣生殖細胞での機能が示されていますが、多くのCTAの機能は不明のままです。特に、生殖細胞とがん細胞の両者で機能するCTAは知られていません。そこで、生殖細胞での機能解析が容易なマウスを対象とし、ヒトCTA遺伝子のマウスホモログ遺伝子を同定し、さらにそれらのがん細胞の増殖・生存における役割の解析を、マウスがん細胞株でのRNA干渉によるノックダウン実験により行いました。その結果、調べた84種類のCTA遺伝子のうち47遺伝子が、がん細胞の増殖・生存に関わることを見いだしました。さらにその中の一つ、TEKT5タンパク質が、チューブリンタンパク質の重合によりできる細胞骨格を形成する微小管の構造を、チューブリンのアセチル化の維持を介して保つ働きがあること、さらに微小管を維持することにより、細胞周期を抑制するシグナル分子SMAD3の細胞核への移行を阻害し、がん細胞の増殖・生存を維持する働きがあることを明らかにしました。さらに、精巣でのノックダウン実験により、チューブリンタンパク質の維持を介して精子形成の最終段階で働くことを明らかにしました。これらの結果から、一つのCTAタンパク質が接点のある分子機構を介して、生殖細胞とがん細胞の両者で、異なる役割を果たしていることがわかりました。
Aoki, N., Matsui, Y. Comprehensive analysis of mouse CTA functions in cancer cells and roles of TEKT5 in cancer cells and testicular germ cells. Molecular and Cellular Biology, doi: 10.1128/MCB.00154-19 (2019). (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31208979)

図2 TEKT5の作用機構
A. CTAの一つであるTEKT5をノックダウンすると(Tekt5 KD)、チューブリン(赤)が断片化する。青はDAPIによる核染色を示す。
B. TEKT5は、微小管チューブリンの脱重合を阻害することにより、がん細胞の細胞周期を抑制するシグナルを阻害することで増殖・生存を促進し、また精子形成の最終段階で必須な機能を果たす。

2 シグナル伝達分子AKTによる、細胞周期とエピジェネティック制御を介した、始原生殖細胞の再プログラム化機構

始原生殖細胞(PGC)の、多能性幹細胞(EG細胞)への再プログラム化は、細胞外から作用するLIFやbFGFなどのサイトカインにより誘導されます。そしてこれまでの研究から、細胞内シグナル伝達を担うAKTタンパク質の活性化が、PGC内でそれらサイトカインシグナルを伝達する働きがあることがわかっています。しかしAKTの下流で、再プログラム化を誘導するしくみは十分に理解されていません。今回の研究で、私たちはAKT活性化によるシグナル伝達が、細胞周期のG1期を抑制するp27kip1の発現を低下させ細胞周期を促進すること、またPGCの再プログラム化を抑制することがこれまでに明らかになっているヒストンH3リジン27のメチル化を、その責任酵素EZH2を抑制することで低下させる働きがあることを示しました。これらの結果から、PGCの再プログラム化が、AKTの活性化が引き起こす細胞周期の促進と、ヒストンメチル化の低下により誘導されることが明らかになりました。
Takehara, A., Matsui, Y. Shortened G1 phase of cell cycle and decreased histone H3K27 methylation are associated with AKT-induced enhancement of primordial germ cell reprogramming. Development Growth and Differentiation doi: 10.1111/dgd.12621 (2019). (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31199000)

図3
A. AKTを活性化すると(緑色)、p27kip1の発現(赤色)が低下する。
B. AKTの活性化は、p27kip1の発現抑制を介した細胞周期の促進と、EZH2の抑制を介したヒストンH3K27メチル化の低下により、PGCの再プログラム化を促進する。

3 生殖細胞特異的なマイクロRNAによる精子形成の制御機構

精巣には精子に分化する幹細胞(精原幹細胞)が存在し、それが自己複製的に増えながら一部が精子へ分化するため、個体の一生を通じて精子形成が起こります。今回の研究で、生殖細胞でのみ発現しているマイクロRNA(XmiR)を同定し、それが幹細胞の増殖と分化のバランスの維持に働いている可能性がわかりました。マイクロRNAはタンパク質をコードしていない短いRNAで、多くの種類が同定されており、それぞれ特定のmRNAに作用し、その安定性や翻訳を抑制する働きがあることがわかっています。今回の研究で同定したXmiRは、精原幹細胞の増殖を促進し、同時に減数分裂の進行を抑制するWNT/βカテニン・シグナル因子の一つであるFzd4のmRNAを標的とし、その発現を抑制することにより、精原幹細胞の増殖を抑制し減数分裂は促進する働きがあることがわかりました。こういったXmiRの働きにより、安定した精子形成が保障されていると考えられます。
Ota, H., Ito-Matsuoka, Y., Matsui, Y. Identification of the X-linked germ cell specific miRNAs (XmiRs) and their functions. PLoS ONE 14, e0211739 (2019).

図4 XmiRは、Fzd4 mRNAの発現を抑制し、WNT//βカテニン・シグナルを阻害することで、精原幹細胞の増殖を抑制し減数分裂を促進する働きがあると考えられる。

4 マウス初期奇形腫細胞由来の多能性幹細胞株の樹立

胎仔に存在する未分化な生殖細胞である始原生殖細胞(PGC)は、特定のサイトカイン等の存在下で培養すると、容易に多能性幹細胞株のEG細胞に再プログラム化されます。胎仔精巣内では、始原生殖細胞は通常は精子への分化に進みますが、Dnd1などの特定の遺伝子変異や遺伝的背景により、奇形腫(テラトーマ)細胞へ変化します。奇形腫は多能性細胞と、そこから分化したさまざまな組織細胞からなる腫瘍で、胎仔生殖細胞が、まず多能性幹細胞へ再プログラム化されることによりできると考えられます。私たちはこれまでの奇形腫形成に関する研究で、DND1の作用機構について報告しました。 今回の研究では、Dnd1変異マウスの初期奇形腫細胞から多能性幹細胞株を樹立し、その性質を調べました。PGC由来のEG細胞は、ES細胞やiPS細胞と同様、着床前の胚に移植するとキメラマウスを形成し、高い分化能を持ちナイーブ型多能性幹細胞と呼ばれています。一方、着床後のエピブラストからも多能性幹細胞株(Epi幹細胞)ができますが、キメラ形成は起こすことができず、やや分化の進んだ多能性状態だと考えられ、プライム型多能性幹細胞と呼ばれています。Dnd1変異マウスの初期奇形腫細胞から樹立された多能性幹細胞株(CDGC)は、遺伝子発現パターンやキメラ形成能などから、ナイーブ型とプライム型の中間的な性質を持つ多能性幹細胞であることが示唆されました。 PGCが培養下で直接的に再プログラム化されると、ナイーブ型多能性幹細胞になりますが、胎仔内で精子を形成する細胞へと分化しながら再プログラム化されると、プライム型になると考えられ、異なる分化状態の生殖細胞が、違う性質を持つ多能性幹細胞細胞に再プログラム化されることがわかりました。
An, Y., Sekinaka, T., Tando, Y., Okamura, D., Tanaka, K., Ito-Matsuoka, Y., Takehara, A., Mochizuki, K., Yaegashi, N., Matsui, Y. Derivation of pluripotent stem cells from nascent undifferentiated teratoma. Developmental Biology 446, 43-55 (2019).

図5 PGCが培養下で直接、再プログラム化されるとナイーブ型多能性幹細胞になるが、胎仔内で精子形成細胞へと分化する過程で再プログラム化されると、プライム型多能性幹細胞になる。

5 生殖細胞形成の初期段階で、ヒストンメチル化酵素SETDB1がBMPシグナル関連遺伝子の発現を制御する

生殖細胞は次世代個体の形成を担う唯一の細胞で、命が世代間で受け継がれるために必須な役割を果たします。哺乳動物の生殖細胞は、胚発生の初期段階の着床直後に始原生殖細胞(PGC)として形成されます。そしてこれまでの研究で、PGC形成に必要ないくつかの分子が同定されていますが、詳しい制御機構はよくわかっていませんでした。そこでPGC形成を制御する遺伝子のスクリーニングを行い、これまでにヒストン脱アセチル化酵素HDAC3が、体細胞の初期分化に関わる体細胞遺伝子の発現を抑制することがPGC形成に必要であることを報告しました。 さらに今回、このスクリーニングで同定したもう一つの因子であるSETDB1のPGC形成における作用機構を解明しました。まずSETDB1の機能欠損によりPGC形成が阻害されることを明らかにしました。さらにSETDB1がヒストンH3のリジン9のメチル化を介して転写因子UTF1、OTX2、DPPA2の遺伝子発現を抑制するこがわかりました。そして、PGC形成の初期段階で働くBMPシグナルに関係する遺伝子の発現を、転写因子UTF1等が抑制することを見いだしました。つまりSETDB1がUTF1などの発現抑制を介して、BMPシグナル遺伝子の発現を保障していることが明らかになりました。 これらの研究成果により、PGC形成過程では、段階的なエピジェネティック制御が働いていることがわかりました(図2)。まずSETDB1が遺伝子のヒストンメチル化によりBMPシグナル関連遺伝子の発現を制御して、BLIMP1等の転写因子の発現を導きます。さらに先に報告したHDAC3が遺伝子のヒストン脱アセチル化を介して、BLIMP1とともに、体細胞遺伝子の発現を抑制することでPGCへの分化が進行すると考えられます。
Mochizuki, K., Tando, Y., Sekinaka, T., Otsuka, K., Hayashi, Y., Kobayashi, H., Kamio, A., Ito-Matsuoka, Y., Takehara, A., Kono, T., Osumi, N., Matsui, Y.  SETDB1 is essential for mouse primordial germ cell fate determination by ensuring BMP signaling. Development 145, dev164160, 2018.

図6 SETDB1HDAC3によるPGC形成の制御

SETDB1がヒストンメチル化によりBMPシグナル関連遺伝子の発現を保障する。さらにHDAC3がヒストン脱アセチル化により、体細胞遺伝子の発現を抑制することでPGCへの分化が起こる。

6 多能性幹細胞で生殖細胞遺伝子の発現を抑制するエピジェネティック機構

 胚発生の初期段階で、多能性幹細胞の一部から精子か卵子のみに分化する始原生殖細胞が発生します。始原生殖細胞と多能性幹細胞は一部の遺伝子発現が類似していますが、始原生殖細胞特異的な遺伝子は、多能性幹細胞では発現抑制されています。私たちのこれまでの研究で、転写制御因子MAXが多能性幹細胞株ES細胞で、生殖細胞特異的遺伝子の発現を、ヒストンH3K9ジメチル化酵素G9A, GFPと共に、ゲノムワイドに抑制していることを示しました(Nature Commun.4,1754,2013)。またMAXは、ポリコーム複合体PRC1.6の構成因子として働くことが報告されています。今回の研究では、MAXPRC1.6とは別に、DNAメチル化酵素DNMTsおよびヒストンH3K9トリメチル化酵素SETDB1とも相互作用し、生殖細胞特異的遺伝子の発現を抑制していることを明らかにしました。この結果から、MAXを軸とした多様なエピジェネティック機構が、多能性幹細胞が生殖細胞の性質を獲得することを抑制していると考えられます。

7 MAXを含む複合体による、生殖細胞特異的遺伝子発現の抑制

Tatsumi, D., Hayashi, Y., Endo, M., Kobayashi, H., Yoshioka, T., Kiso, K., Kanno, S., Nakai, Y., Maeda, I., Mochizuki, K., Tachibana, M., Koseki, H., Okuda, A., Yasui, A., Kono, K., and Matsui, Y. DNMTs and SETDB1 function as co-repressors in MAX-mediated repression of germ cell–related genes in mouse embryonic stem cells. PLoS ONE 13, e0205969 (2018).

7 始原生殖細胞の多能性幹細胞への再プログラム化を促進する因子の同定

始原生殖細胞は多能性幹細胞から分化しますが、通常その分化は精子または卵子に向かって一方向に進み、他の種類の細胞への分化や、分化を後戻りすることはありません。しかし私たちのこれまでの研究から、いくつかの増殖因子とともに培養すると、一部の始原生殖細胞が1週間ほどで多能性幹細胞であるEG細胞へ再プログラム化されることが明らかになっています。この再プログラム化の分子経路を解明する目的で、再プログラム化の効率に影響する遺伝子の同定を試みました。まずPGCと多能性幹細胞であるES細胞のトランスクリプトーム比較により、両者で発現差の大きい転写因子またはエピジェネティック制御因子遺伝子を選択しました。次のそれらの遺伝子をPGCで過剰発現またはノックダウンし、EG細胞の形成効率の変化を調べました。その結果、BCL3KLF9の過剰発現によりEG細胞形成が促進されることがわかりました。特にKLF9は、EG形成に必要なサイトカインであるbFGFの下流にあり、またKLF9の下流には、やはりEG細胞形成に関与するcAMPシグナルがあることが示唆されました。この研究により、PGCの再プログラム化を制御する新たな分子経路の一端が明らかになりました。

図8  Klf9の過剰発現(OE)により、EG細胞コロニー数が増加する(左)。KLF9は、bFGFの下流、cAMPシグナルの上流で、PGC再プログラム化を制御していると考えられる(右)。

Otsuka, K., Takehara, A., Chiba, N., Matsui, Y. Identification of KLF9 and BCL3 as transcription factors that enhance reprogramming of primordial germ cells. PLoS ONE 13, e0205004 (2018).

8 HDAC3が体細胞遺伝子の発現を抑制することが、生殖細胞ができるために重要

体を構成する体細胞と次世代を生み出すための生殖細胞は、役割が全く異なるにもかかわらず、元々は受精卵という1つの細胞に由来します。マウスの生殖細胞は、胚発生過程の6.5日頃(6.5日胚)に、多能性のエピブラスト細胞から、BMP4やWntなどの細胞外因子と、BLIMP1などの転写因子の働きによって、始原生殖細胞(PGC)として誘導されます。またPGCでは、遺伝子の転写調節に働くDNAのメチル化やヒストンタンパク質のメチル化、アセチル化などのエピジェネティック状態が、体細胞と比較して特徴的な変化をすることが示され、PGC形成の時にも、このエピジェネティック状態の制御が重要な役割を果たしていることが予想されましたが、詳しい分子機構はわかっていませんでした。そこでPGCの形成を制御するヒストン修飾制御因子遺伝子を同定し、分子機構を解明することを目的に、候補遺伝子のスクリーニングを行いました。ES細胞からPGC様細胞 (PGC-like cell : PGCLC)を誘導する培養系で、200種類のヒストン修飾制御因子遺伝子のノックダウン(KD)をRNA干渉法により行い、KDによりPGCLC形成が阻害される遺伝子の一つとして、ヒストン脱アセチル化酵素遺伝子Hdac3を同定しました。ヒストンの脱アセチル化は、一般的に遺伝子発現を抑制することが知られており、HDAC3は本来PGCで発現するべきではない遺伝子群の発現を抑制することが予想されました。 そこで次に、HDAC3が制御する標的遺伝子を同定するために、Hdac3をKDしたPGCLCのトランスクリプトーム解析を行い、HDAC3が体細胞の初期分化に関わるHoxa1遺伝子などの体細胞遺伝子の発現を抑制することを見いだしました(図)。さらに詳しく調べた結果、HDAC3がPGC形成に働く転写因子タンパク質BLIMP1と相互作用し、体細胞遺伝子の発現を直接抑制することがわかりました。また、それらの体細胞遺伝子は、PGC形成に必要なBlimp1などの遺伝子(PGC遺伝子)の発現を直接抑制していることが明らかになりました。これらの結果から、PGC形成に必要な遺伝子の発現を阻害する働きがある体細胞遺伝子の発現を、HDAC3がBLIMP1と協調して発現抑制することにより、PGC形成が保障されていることが明らかになりました。

Mochizuki, K., Hayashi, H., Sekinaka, T., Otsuka, K., Ito-Matsuoka, Y., Kobayashi, H., Oki, S., Takehara, A., Kono, T., Osumi, N., Matsui, Y. Repression of somatic genes by selective recruitment of HDAC3 by BLIMP1 is essential for mouse primordial germ cell fate determination. Cell Reports 24, 2682–2693 (2018). doi.org/10.1016/j.celrep.2018.07.108

図9 HDAC3の作用機構

HDAC3は、BLIMP1と協調してHoxa1などの体細胞遺伝子群の発現を抑制し、その制御下にある始原生殖細胞(PGC)形成に必要な遺伝子群(PGC遺伝子群)の発現を保障している。


9 胎仔生殖細胞のがん化を抑制するの作用機構

 胎仔精巣内の未分化な生殖細胞が、特定の遺伝子変異などにより多能性幹細胞へ変化し、それが、さまざまな組織細胞に無秩序に分化することにより、奇形腫という腫瘍が形成されます。そして、この奇形腫発症の原因の1つとしてDnd1遺伝子の変異が知られています。この研究では、Dnd1遺伝子変異がもたらすヒストン修飾の異常により起こる、細胞周期を促進する遺伝子の発現上昇が、奇形腫発症につながることを示しました。 まずDnd1変異マウス精巣で生殖細胞から変化した多能性幹細胞(初期奇形腫細胞)では、遺伝子発現を抑制する働きがあるヒストンH3K2のメチル化(H3K27me3) と、その責任酵素のEzh2の発現低下が見られることを明らにしました。一方、Dnd1がEzh2 mRNAに結合することにより、その発現を保つことを示しました。さらにEzh2 によるH3K27me3標的遺伝子候補として、奇形腫形成に関与することが報告されている、細胞周期を促進するサイクリンD1遺伝子(Ccnd1)を同定し、Dnd1変異精巣の初期奇形腫細胞で、 Ccnd1の発現上昇が起こることを明らかにしました。これらの結果から、Dnd1の機能欠損により起こるEzhの発現低下を介したH3K27me3の低下がCcndの発現上昇を引き起こし、それが奇形腫形成の原因の1つとして働いている可能性が示されました。

Gu, W., Mochizuki, K., Otsuka, K., Hamada, R., Takehara, A., Matsui, Y. Dnd1-mediated epigenetic control of teratoma formation in mouse. Biology Open 7, bio030106 (2018).

図10 Dnd1による奇形腫形成の抑制機構

A : Dnd1はEzh2の発現を保つ働きをし、それによりCcnd1遺伝子のヒストンH3K27メチル化が保たれ、その発現が抑制される。

B: Ccnd1の発現抑制により、胎仔生殖細胞の多能性幹細胞への変化が起こらなくなり、奇形腫形成が抑制される。

C: 胎仔生殖細胞(緑)でのヒストンH3K27メチル化(赤)。紫は核を示す。

10 始原生殖細胞のユニークな細胞内代謝状態とその役割

細胞の代謝状態は、細胞機能の制御に重要と考えられますが、生殖細胞の代謝状態が分化の過程で、どのように変化し、それが生殖細胞の性質にどのような影響を与えるかは分かっていませんでした。わたしたちは、これらを次のような実験により明らかにしました。 まず生殖細胞特異的に緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するトランスジェニックマウスを用い、GFP陽性の生殖細胞とGFP陰性の生殖巣体細胞を精製しました。次にそれらを使った網羅的な代謝化合物解析(メタボローム解析)、タンパク質解析(プロテオーム解析)を行い、生殖細胞では多能性幹細胞と比較して、アミノ酸と核酸の合成経路が亢進していること、さらに解糖系の抑制と、ミトコンドリアで効率よくエネルギーを産生する酸化的リン酸化の亢進が起こっていることを見出しました。また胎仔生殖巣の体細胞と比較しても、酸化的リン酸化が亢進していることがわかりました。  また様々な胎齢由来の胎仔生殖細胞のエネルギー代謝活性を測定し、胚発生の進行に伴う生殖細胞の分化過程で、解糖系活性の低下と、酸化的リン酸化活性の上昇が、逐次的に起こることがわかりました。さらに培養系に阻害剤を添加することで酸化的リン酸化を阻害すると、生殖細胞の形成と生存が顕著に抑制されることを明らかにしました。また同様に解糖系を阻害した場合は、胎仔生殖細胞の多能性幹細胞への再プログラム化が阻害され、また生殖細胞の形成も影響を受けることがわかりました。 これらの研究成果から、胎仔生殖細胞では核酸とタンパク質の生合成が亢進している可能性が示唆され、さらにミトコンドリアのエネルギー産生経路が生殖細胞の形成と維持に必須であることが明らかになり、こういった代謝の特徴が、次世代個体を担う精子・卵子に分化する上で重要な役割を果たしている可能性が示されました。今後、エネルギー代謝経路の変化に関わる遺伝子を同定し、その変異が引き起こす配偶子形成異常を調べることなどにより、生殖細胞における代謝異常と不妊や先天性異常との関連を解明することが期待できます。

Yohei Hayashi, Kei Otsuka, Masayuki Ebina, Kaori Igarashi, Asuka Takehara, Mitsuyo Matsumoto, Akio Kanai, Kazuhiko Igarashi, Tomoyoshi Soga, and Yasuhisa
Matsui. Distinct requirements for energy metabolism in mouse primordial germ cells and their reprogramming to embryonic germ cells. Proceedings of National Academy of Science, USA. 114, 8286-8294 (2017) doi/10.1073/pnas.1620915114

図11  始原生殖細胞のエネルギー代謝活性の特徴 始原生殖細胞では、多能性幹細胞から分化する過程で、解糖系が抑制される一方で、酸化的リン酸化の活性化がおこる。こういったエネルギー代謝経路の変化が、始原生殖細胞の形成・生存・分化に重要であると考えられる。


大学院の紹介

私たちの研究室は、大学院生命科学研究科分化再生制御分野、および医学系研究科の講座にもなっていて、大学院生として研究に参加できます。


最近の発表論文

  1. Aoki, N., Matsui, Y. Comprehensive analysis of mouse CTA functions in cancer cells and roles of TEKT5 in cancer cells and testicular germ cells. Molecular and Cellular Biology, doi: 10.1128/MCB.00154-19 (2019).
  2. Takehara,A., Matsui, Y. Shortened G1 phase of cell cycle and decreased histone H3K27 methylation are associated with AKT-induced enhancement of primordial germ cell reprogramming. Development Growth and Differentiation doi: 10.1111/dgd.12621 (2019).
  3. Ota, H., Ito-Matsuoka, Y., Matsui, Y. Identification of the X-linked germ cell specific miRNAs (XmiRs) and their functions. PLoS ONE 14, e0211739 (2019).
  4. An, Y., Sekinaka, T., Tando, Y., Okamura, D., Tanaka, K., Ito-Matsuoka, Y., Takehara, A., Mochizuki, K., Yaegashi, N., Matsui, Y. Derivation of pluripotent stem cells from nascent undifferentiated teratoma. Developmental Biology 446, 43-55 (2019).
  5. Mochizuki, K., Tando, Y., Sekinaka, T., Otsuka, K., Hayashi, Y., Kobayashi, H., Kamio, A., Ito-Matsuoka, Y., Takehara, A., Kono, T., Osumi, N., Matsui, Y. SETDB1 is essential for mouse primordial germ cell fate determination by ensuring BMP signaling. Development. 2018 Nov 16. pii: dev.164160. doi: 10.1242/dev.164160. PMID:30446626
  6. Tatsumi, D., Hayashi, Y., Endo, M., Kobayashi, H., Yoshioka, T., Kiso, K., Kanno, S., Nakai, Y., Maeda, I., Mochizuki, K., Tachibana, M., Koseki, H., Okuda, A., Yasui, A., Kono, K., Matsui, Y. DNMTs and SETDB1 function as co-repressors in MAX-mediated repression of germ cell–related genes in mouse embryonic stem cells. PLoS ONE 13, e0205969 (2018).
  7. Otsuka, K., Takehara, A., Chiba, N., Matsui, Y. Identification of KLF9 and BCL3 as transcription factors that enhance reprogramming of primordial germ cells. PLoS ONE 13, e0205004 (2018).
  8. Mochizuki, K., Hayashi, Y., Sekinaka, T., Otsuka, K., Ito-Matsuoka, Y., Kobayashi, H., Oki, S., Takehara, A., Kono, T., Osumi, N. and Matsui Y. Repression of somatic genes by selective recruitment of HDAC3 by BLIMP1 is essential for mouse primordial germ cell fate determination. Cell Reports 24, 2682-2693, September 4, (2018).
  9. Hayashi.Y., Matsui. Y. Metabolomic and Proteomic Analyses of Mouse Primordial Germ Cells. Methods Mol Bio., May 23 doi:10.1007/7651, (2018) 164 PMID:29790096
  10. Gu, W., Mochizuki, K., Otsuka, K., Hamada, R.,Takehara, A., Matsui, Y. Dnd1-mediated epigenetic control of teratoma formation in mouse. Biology Open 7, bio030106 (2018). PMID: 29378702
  11. Yohei Hayashi, Kei Otsuka, Masayuki Ebina, Kaori Igarashi, Asuka Takehara, Mitsuyo Matsumoto, Akio Kanai, Kazuhiko Igarashi, Tomoyoshi Soga, and Yasuhisa Matsui. Distinct requirements for energy metabolism in mouse primordial germ cells and their reprogramming to embryonic germ cells. Proceedings of National Academy of Science, USA. 114, 8286-8294 (2017) doi/10.1073/pnas.1620915114 PMID: 28716939
  12. Aoki, N., Mochizuki, K., Matsui, Y. DNA Methylation of the Fthl17 5’-Upstream Region Regulates Differential Fthl17 Expression in Lung Cancer Cells and Germline Stem Cells. PLoS ONE 12, e0172219 (2017). PMID: 28207785
  13. Sekinaka,T., Hayashi, Y., Noce, T., Niwa, H., Matsui, Y. Selective de-repression of germ cell-specific genes in mouse embryonic fibroblasts in a permissive epigenetic environment. Scientific Reports 6:32932 (2016). DOI: 10.1038/srep32932 PMID: 27608931
  14. Matsui, Y., Takehara, A., Tokitake, Y., Ikeda, M., Obara, Y., Morita-Fujimura,Y., Kimura, T., and Nakano, T. The majority of early primordial germ cells acquire pluripotency by Akt activation. Development 141, 4457-4467 (2014). PMID: 25359722
  15. Leitch, H.G., Okamura, D., Durcova-Hills, G., Stewart, C.L., Gardner, R.L., Matsui, Y., Papaioannou, V.E. On the fate of primordial germ cells injected into early mouse embryos. Developmental Biology 385, 155-159 (2014). PMID: 24269765
  16. Matsui, Y. and Mochizuki, K. A current view of the epigenome in mouse primordial germ cells. Molecular Reproduction and Development 81, 160-170 (2014). PMID: 23868517
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