悪性胸膜中皮腫の治療
悪性胸膜中皮腫の治療には手術、薬物療法、放射線治療があります。切除適応がある進行度と組織型で全身状態から手術に耐えられると判断される方を手術を含めた集学的治療の対象といたします。
悪性胸膜中皮腫の手術には胸膜肺全摘術と胸膜切除/肺剥皮術があります。胸膜肺全摘術は悪性胸膜中皮腫がある片側の胸膜と肺をまとめて切除する手術法です。切除範囲は広いものの、患者さんの身体への負担は非常に大きい手術法です。胸膜切除/肺剥皮術では悪性胸膜中皮腫がある片側の胸膜を切除し、肺へ悪性胸膜中皮腫の広がりがある場合にはその部分の肺を切除します。肺が温存され、胸膜肺全摘術と比較をすると身体への負担は少なく、重篤な合併症は少ない手術法です。
胸膜肺全摘術は手術のリスクが高く、患者さんの手術後の生活にも大きな負担となります。東北大学病院呼吸器外科では2013年より胸膜切除/肺剥皮術を第一選択の手術法としています。また、原則的に手術前に化学療法(術前化学療法)を行います。胸膜切除/肺剥皮術であっても患者さんへの侵襲は大きいため、手術を行うことで予後延長が期待できる上皮型中皮腫の方を手術の対象としています。